ホワイト・ドーベルマン(White・Doberman)
ホワイト・ドーベルマンは、今から約40年前の、1976年11月10日にアメリカで突然誕生した1頭の【Sheba】と名付けられたメスが、血統の始まりである。
【Sheba】は、近親交配によって誕生したといわれ、その容姿は、白い被毛に、青い瞳、ピンク色の鼻や唇を持つ、いわゆるアルビノ体であった。
【アルビノとは】
動物学においては、メラニンの生合成に係る遺伝情報の欠損により
先天的にメラニンが欠乏する遺伝子疾患がある個体のこと
アルビノ体である【Sheba】から始まったホワイト・ドーベルマンだが、2014年3月ミシガン州立大学の研究者によって、アルビノ体のドーベルマンの中に、若干のメラニン色素を有する個体の存在が明らかとなった。
若干のメラニン色素をもつ、ホワイト・ドーベルマンの遺伝子はブルー(Blue)、フォーン(Fawn)同様に劣性遺伝子を有し、眼皮膚白皮症(がんひふはくひしょう)を発生させる原因となる遺伝子を有していた。
※【眼皮膚白皮症(がんひふはくひしょう)とは】
メラニン生合成が低下、もしくは著しく低下し機能を消失すること。全身の皮膚が白色調、青から灰色調の虹彩、矯正不能な視力障害、そして白から銀色の体毛を呈す影響を与える
ホワイト・ドーベルマンの健康面
現時点で、ドーベルマン自体が抱える疾患、ブルー、フォーンが抱える常染色体劣性遺伝による皮膚疾患、非炎症性脱毛症に加え、感光性が著しく高く、光に対して過剰な眩しさを感じ、それらに伴う不快感や痛みを高い確率で有する事が知られている。
今回、新たに明らかとなった、若干のメラニン色素を有する個体では、アルビノ個体よりは、いくらか抵抗力があるとされる。
ホワイト・ドーベルマンの飼育
飼育の際には、常に、外的刺激,皮膚の乾燥,紫外線,光への対策、外出時の注意が必要となる。病院にかかる費用も、それなりの覚悟がいるだろう。元気で若い齢ほどケアを徹底し、後の疾患発症を抑える心がけが何よりも重要となる。
希少種ゆえ‥
アルビノ体として誕生した【Sheba】は、14の子犬を出産し、内2匹の雄がアルビノとして誕生した。【Sheba】の遺伝子は、その子供達との交配にて数を増やしたと記録されている。つまり、現存するホワイト・ドーベルマンの血統を遡れば必ず【Sheba】にたどり着くのだ。そして、そのホワイトカラーの血統は、日本を除いて他国の極めて少数の繁殖家によって、今日まで維持されている。
ホワイト・ドーベルマンは、たしかに美しい。白い毛色に青い瞳には、誰もが魅了されるだろう。そしてドーベルマンに興味を持つ者は、必ず一度はその存在について知りたくなるだろう。
しかし、ホワイト・ドーベルマンの美しさの裏には【Sheba】とその仔たちの過度な近親交配、毛色のためだけに繁殖を繰り返されたという悲しい過去も隠れているのだ。
参考文献・資料▼
http://pets.thenest.com/blue-doberman-dogs-4886.html
http://dobiefly.tripod.com/madaira.htm
http://www.nanbyou.or.jp/entry/4195
http://www.tajamidobermans.com/White-Doberman.html
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0092127
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%8E