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愛犬の問題行動と心のケア

 

飼い主を悩ませる【問題行動】には愛犬たちの心の叫びが隠れています。これらの治療には環境の変更、行動修正治療、薬物療法、ホルモン治療などがありますが、最も重要な治療法は【環境の変更】です。一見単純なことようにも感じますが、根本的に最も重要なことで、それが行われないと他の治療をいくら行っても全く改善できないということが多々あります。

ドーベルマンには【ブランケットサッキング】という自らの脇腹や毛布などを執拗に吸い続ける、という、あまり聞き慣れない自己刺激(けん部吸い)行動をとることが知られています。遺伝的要因も無関係とは言えませんが、わたし達飼い主が出来ること、犬の心のケアに着目し対策をとることでその多くが緩和できることも事実です。

また心のケアを必要とする行動を繰り返している犬の場合、全く関係ないことのように思うかもしれませんが、犬のヒゲカットは控えることをおすすめいたします。犬のヒゲをカットすることによって、ふらついたり、平衡感覚が鈍ることは研究で明らかとなっています。どうしても犬のヒゲをカットしたい場合、心身ともに健康であるときだけに留めることをおすすめします。

犬の問題行動を予防する最善策

 

家庭犬としてのドーベルマンの運動量は1日1時間半〜2時間、週に1〜2回はドッグランなどで思いっきり走る時間を提供してあげる必要があります。犬種や行動的特徴にもとづき、自分の生活スタイルに合った犬種を選択することが、当たり前のようですが大切です。

犬は社会性が非常に高い動物です。なでたり、遊んだりする時間は一日のうち必ず一定時間必要とします。この触れ合いがわずかに保てなかっただけでも、問題行動を引き起こす原因となります。

ペットショップから迎えた子犬は流通のシステム上、早期に母兄弟と引き離されています。母親や兄弟間のコミニュケーションが不足している子犬を迎えた場合、徹底して社会化対策を行ないましょう。

犬にわかりやすい方法で、正しいこと、悪いことを教え、適切な刺激と安心感を与えることで、確かな信頼関係を構築することが大切です。

1:不安からくる行動(逃げる、隠れる、吠える、破壊、攻撃、唸る)

 

特徴:

・不安や恐怖を感じた犬は、逃げる、隠れる、吠える、破壊、攻撃などの行動をとります。

原因:

・十分に社会化が行われていないことや、過去の恐怖体験、分離不安が関わっている傾向が多いとされます。

ケア :

・屋根があり四方を囲まれクレートでの飼育に変更しましょう。まず犬にとって安心できるスペースを提供すしましょう。

・分離不安の場合、在宅時に短時間、ひとりでハウスに入らせる練習から行いましょう。

・留守番前の散歩や排泄、知育玩具のおもちゃ、         とおやつをいれた          などを与え、退屈させないようにしましょう。 

・その他、程よい圧迫感により安心効果をもたらすとされる         は落雷への恐怖、その他不安からくる問題行動(雷、花火等の音響不安 /分離不安 /クレート等の閉所不安 /旅行先等 環境変化への不安 /興奮、不安等が原因の吠え /リードの引っ張り、動く物に対する反応 /興奮、ハイパーアクティビティ)に対しても有効とされています。

2:無駄吠え

 

特徴:

・過剰に吠え続けるという行動です。

原因:

・犬にとって吠えるという行動は無駄ではなく、全てに意味と理由があり、興奮/警報/不安/要求からの吠え、分離不安、脳神経疾患からくる吠えなどがあります。

・医学的疾患(脳疾患)を除き、主に退屈、運動不足、ストレスによる可能性が高いとされています。

・護衛犬、狩猟犬、牧羊犬は吠えやすい傾向があります。

ケア:

・運動や刺激をあたえ、ストレス緩和を心がけ、吠えるきっかけを遠ざけましょう。

・窓の外の通行人に吠えるのであれば、極力見えないように工夫し、チャイムに吠えるならば、チャイムを鳴らした直後にハウスと命令し、入ったらおやつを与える。これをしばらく繰り返し、【チャイムの音=ハウス】を覚えさせましょう。

・ドーベルマンは吠えやすい性質なので、マンションなどで飼う場合、徹底した過剰吠え対策が必要となります。

・要求吠えの場合は、感心を向けず、落ち着いた時に構うようにしましょう。

3:常同障害(尾追い、尾かじり、ペーシング、実際にはいないハエ追い、空気噛み、自傷行動)

 

特徴:

・尾追い、尾かじり、ペーシング、実際にはいないハエ追い、空気噛み、自傷行動、などの異常行動が繰り返される。

原因:

・医学的疾患(感覚疾患や脳疾患など)を除き、重度の退屈とストレス、持続的不安が原因となっている可能性があります。

ケア :

・散歩時間と遊び時間、一緒に過ごすスキンシップの時間を見直しましょう。

・行動を繰り返すことで脳内エンドルフィンが放出され、自己強化が進むため、繰り返させないような心がけが必要となります。

・ここでも役に立つのが退屈させないおもちゃです。チューブチーズペースト を塗った           におやつを入れると、取り出すのに一層時間がかかるため、こうした知育玩具を効果的に利用しましょう。

・他にも【          】がいくらかの不安軽減に役立つとされています。

・自傷行動による傷口悪化を避けるために、エリザベスカラーや                   などを装着した方がいい場合もあります。

4:不適切な排泄

 

特徴:

・トイレシート以外での排泄。

原因:

・医学的疾患を除いて、トイレのしつけ不足、マーキング、服従性排尿、興奮性排尿、分離不安などが考えられます。

ケア:

・トイレのしつけ不足は、トイレ以外の場所で排泄した時に、臭いが残らないように                  などで徹底的に消臭し、普段から排泄のタイミングを見逃さないようにしましょう。

・トイレトレーニングにおいて失敗したときの“叱る行為”は全く逆効果です。排泄跡は無言で片付け、トイレシートの上で出来た時は褒めましょう。

 ・室内での放し飼いが原因となることも。狭いところが好きな犬の習性にあわせて、クレート飼育に変えましょう。

・特定の場所や条件でマーキングする場合、その場所・条件に近づけないようにし、排泄をさせない工夫をしましょう。

・オスのマーキングの多くには去勢手術が有効とされています。

・いぜれにせよ、トイレトレーニングの基本は飼い主がタイミングを見逃さないことにあります。

5:感心を求める行動

 

特徴:

・飼い主をつついたり、吠えたり、飼い主の感心を引くための行動です。その行動が発展し、尾追い、床を掘る、自傷行為などが生じ、飼い主がいない場合にはそれらの行動はみられないのが特徴です。これらの行動は飼い主が構ってくれたことにより、強化されています。

原因:

・飼い主の愛情過多、または感心不足の可能性が高いとされています。

ケア:

・構う時間と構わない時間のメリハリを持ち、要求行動をとっている場合、感心を払わないようにしましょう。

6:食糞

 

特徴:

・自分の糞を食べるという行動です。

原因:

・飼い主の気を引きたい場合が考えられますが、飼い主が見ていない時にも自分の糞を食べた形跡が残っている場合、気を引きたいわけではなく、糞の嗜好が固定した場合があります。

・その他にもストレス、不安、食事が足りない、消化器系の異常や未発達、消化酵素不足などがあげられます。

・          を与えたり、繊維質の増量のために茹でたキャベツをトッピングしたり、食事内容や量を見直すことにより、解消されることがあります。

・成犬で、突然食糞がはじまった場合、消化器官系の検査を受けましょう。

 ケア:

・糞はすぐに片付けて、嗜好が固定しないように繰り返し食べさせないことが大切です。

7:ブランケットサッキング

 

特徴:

自らの脇腹や毛布などを執拗に吸い続けるという自傷(けん部吸い)行動です。

原因:

・あることに対して不安がおこるとその行為をやめられない状態です。

・早過ぎる離乳、ストレス、退屈、食欲異常などが主な原因とされています。

・ドーベルマンの場合、遺伝的要因も関係していると考えられています。

ケア:

・毛布の切れ端などを飲み込む異嗜(食べてはいけないものを食べる)につながる可能性が非常に高いため、タオルや毛布など取りやすい位置に置かないように心がけましょう。

・その他、散歩時間、遊び時間、スキンシップの時間を見直し、            などを与え、犬がひとりで過ごす時間をとにかく退屈させないように工夫をしましょう。

・自らの脇腹を吸っている場合、傷口を悪化させない早急な工夫が必要です。

・目を離す場合はエリザベスカラーや                   などを装着しましょう。

資料:ブランケットサッキング-YouTube

8:異嗜

 

特徴:

・小石、木の枝、布製品など食べてはいけないものを食べる行動です。

原因:

・医学的疾患(消化器疾患など)を除き、食事が足りていない、食事内容が犬種に合っていない場合があります。

・飼い主が焦って取り返そうとすることにより、行動が強化される傾向があります。

ケア:

・口に入れそうなものは届かないように片付け、食事内容、量を見直しましょう。

・コマンド【ちょうだい】を教え、落ち着いて取り戻せるようにしましょう。

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